ちょっと気を損ねた男の子が
土の上にごろ~ん。
手で土や葉をいじったり
足で地面をガサガサしてみたり。
次第に気分が落ち着いてきたのか
しばらくして、スクッと立ち上がり
次にしたいことを自分で選び
また気持ち良く過ごしていました。
この子、実は、これまで全然「土」に触れなかったのです。
土も、泥も、絵の具も、こぼしてしまったスープも、「汚れるの嫌!」と言って、ちょっと指先についただけで半泣きになっていた子。
その子が、全身を土に身を預け、土や葉っぱに癒されている姿を見れるとは♡
感覚体験って、大事なの?
土や絵の具、葉っぱや粘土など、大人から見ると「触ると汚れるもの」ですが、実は発達にとっても大切なのです。
様々なものに触れる「触覚」、そして「視覚・聴覚・味覚・嗅覚」の五感に加え、自分の体の位置や力の入れ具合を司る感覚「平衡感覚・自己受容感覚」の合わせて七感は、乳幼児期に体験することが発達の様々な面で大変重要だと言うことがわかっています。
感覚はどのように発達する?
感覚は、実体験でのみ感じられます。
体験した感覚情報は、脳内で複数の「シナプス」の形成に繋がり、整理され、記憶され、これを「感覚統合」と言い、学習能力・運動能力・情緒面などの適切な発達を促します。
この感覚の発達は6歳頃までがピーク。それ以降は急激に衰えて行きます (大きくなってから絶対音感がつかないと聞いたことはありませんか?小さい頃の食べ物の好み(味覚)を大人になってからも覚えていませんか?)。つま†り、小学校に入るまでの乳幼児期が、色々な感覚を体験するのに一番大切な時期なのです!
どんな感覚体験が良い?
感覚情報が多すぎたり少なすぎると、脳内が混乱渋滞になってしまい「すぐに止めたい!逃げたい!」(=急性ストレス反応)、気持ち悪い、感覚過敏、不器用、力加減がわからない、集中力が続かない、我慢が難しい、言葉の遅れ、対人関係の問題など様々な「生きにくさ」が生じます。
効果的な感覚発達のためには、
様々な感覚を使う機会が常にあることに加え、
感覚情報が適量・適切であることが重要。
自然は人間にとって常に適量・適切な刺激があり、最適な感覚体験の場なのです。
木々のせせらぎ、風が頬にあたる感触、土の匂い、根っこが這った地面を歩くこと、幹や葉のザラザラ・・・
今すぐ劇的な学習変化は見られないかもしれません。
でも、それらの感覚体験を存分にした子ども達が成長した時、身体・情緒・知的・あらゆる面で強く大きく花開くと、AKGは信じています。
参照:C.A. Nelson. 2000. The Science of Early Childhood Development. Center on the Developing Child, Harvard University